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ライヴレポート:BLUE NOTE plays BLUE NOTE

史上最強のジャズ・レーベル、ブルーノートの創立80周年を祝うライヴ・イベント「BLUE NOTE plays BLUE NOTE」が1月21日、22日の2日間、東京青山のブルーノート東京で開催された。


「BLUE NOTE plays BLUE NOTE」は、“ブルーノート東京でブルーノート・レーベルのヒット曲を演奏する”というコンセプトで、創立75周年の2014年から2015年にかけて計6回開催された。毎回異なるアーティストの組み合わせで、趣向を凝らした内容で楽しませてくれた。

4年ぶりに復活した今回の「BLUE NOTE plays BLUE NOTE」は、黒田卓也(tp)、西口明宏(ts)、井上銘(g)、桑原あい(p)、宮川純(org, p)、角田隆太(b)、石若駿(ds)という、現在の日本ジャズ・シーンをリードする若手が集結したスペシャル・バンドが出演。いずれもソロ活動のかたわら、CRCK/LCKS、ものんくる、メガプテラスといったグループで顔を合わせてきた彼らだが、全員が一同に会するのは今回が初めて。これに、ジェイムズ・フランシーズ(p, key)、トニー・アレン(ds)という現ブルーノート所属のアーティストが日替わりでスペシャル・ゲストとして加わり華を添えた。

両日とも演奏されたのは、「処女航海」「ミッドナイト・ブルー」「クレオパトラの夢」「フィール・ライク・メイキング・ラヴ」の4曲。黒田~西口~宮川(p)~角田~石若のクインテットで演奏されたオープニングの「処女航海」(作曲:ハービー・ハンコック)は西口のアレンジで、ファンファーレ風の印象的なフックが加えられた。西口~黒田~宮川がたっぷりとしたソロ・リレーを披露し、60年代ブルーノート新主流派直系の王道のパフォーマンスでまずオーディエンスを魅了した。



「ミッドナイト・ブルー」(作曲:ケニー・バレル)では井上銘が登場。宮川がオルガンに移動し、井上~宮川~石若のトリオで、新主流派と並ぶ60年代ブルーノートのカラーであったオルガン・ジャズを再提示した。井上が施したワルツ・フィールの斬新なアレンジと、ギター~オルガンのダイナミックなソロ・リレーで、現代最先端のファンキー・ジャズを表現。この3人で演奏するのは初めてだったそうだが、トリオのコンビネーションの素晴らしさも特筆に価するものだった。



続いて桑原あいが登場し、ピアノ・トリオで「クレオパトラの夢」(作曲:バド・パウエル)を披露。桑原による新アレンジは、繊細なソロ・ピアノとダイナミックなトリオ演奏が織りなすドラマチックなもので、毎ステージで異なる表情のクレオパトラ像を描き出した。過去にデュオ・アルバムを発表している桑原と石若のコンビに角田が加わったと言える編成だが、普段の活動ではエレクトリック・ベースをメインにしている角田がウッド・ベースの使い手としても非常に優れていることを証明していた。



歌姫マリーナ・ショウのヒット曲「フィール・ライク・メイキング・ラヴ」で、ようやく日本人メンバーがステージに全員集合(初日は桑原のかわりにジェイムズ・フランシーズが参加)。宮川純によるアレンジは、オリジナルに近いメロウなムードで始まり、後半は強力なファンク・サウンドに切り替わる巧みなもの。メロディを取るオルガンのバックで奏でられるホーンのハーモニーは、メンバー全員が敬愛する故ロイ・ハーグローヴへのオマージュに感じられた。

ここから先はスペシャル・ゲストを迎えた演奏を紹介する。まず、初日のジェイムズ・フランシーズは、まず自身のブルーノート・デビュー作『フライト』収録のオリジナル曲「スウェイ」を、井上~角田~石若~黒田とともに演奏。変拍子が交差する複雑な構成だが、浮遊感のあるメロディとサウンドが妖しい魅力を放つ。ジェイムズのピアノは、瑞々しくも太いタッチと23歳とは思えない説得力のあるソロが圧巻。井上と黒田のソロや、ジェイムズに即座に反応する角田と石若も見事だった。



ジェイムズは他に、「ザ・サイドワインダー」(作曲:リー・モーガン)とドナルド・バードの「シンク・トゥワイス」に参加。前者では、まず黒田~西口~井上が、そして桑原~宮川~ジェイムズがソロ・リレーを繰り広げ、場内の盛り上がりは最高潮に。アンコールの「シンク・トゥワイス」では、黒田アレンジのアフロビートをバックに、ジェイムズはキーボードを自在に操り、異次元にまで飛翔していくかのような縦横無尽なパフォーマンスを繰り広げた。



2日目のトニー・アレンは、伝説的アーティスト、フェラ・クティを支えたアフロビート・ドラムの巨匠(78歳)。近年はフランス・ブルーノートから精力的にアルバムをリリースしている。ステージに登場したトニーはまずブルーノートを代表する大ヒット曲「モーニン」を演奏。自身のEP『『A Tribute To Art Blakey And The Jazz Messengers』に収録したアフロビート・アレンジで、衰えぬ圧倒的なグルーヴを見せつけた。

2曲目は同じくアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの名盤『モーニン』から「ドラム・サンダー組曲」。ここでは石若も加わったツイン・ドラム編成。拠点のニューヨークでアフロビート・バンドにも在籍している黒田のエネルギッシュなソロに続いて、後半ではドラム・ソロ・バトルが実現。“バトル”とは名ばかりで、ソロ交換中のお互いの笑顔が印象的だった。尚、トニーは、黒田をはじめ日本人メンバーがアフロビートの演奏法を体得していることにたいへん感動していた。



単なる名曲の焼き直し演奏ではなく、楽曲を現在の解釈でアレンジし、それを、ここでしか見られない組み合わせでプレゼンテーションした今回の「BLUE NOTE plays BLUE NOTE」。80周年の今年、再びシリーズ化されることが決定している。

(Photo by Makoto Ebi)