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【連載】ゆっくり、だけど、確実に。 〜福盛進也 音楽半生記〜 (第2回)



2019年に創立50周年を迎えたドイツの名門ECMレーベル。そのECMから昨年デビューを飾った日本人ドラマーの福盛進也。

15歳でドラムを始め、17歳の時に単身で渡米。その後、ブルックヘブン・カレッジ、テキサス大学アーリントン校を経て、バークリー音楽大学を卒業。10年間のアメリカでの活動後、2013年に拠点をミュンヘンに移し欧州各国で研鑽を積み、遂に念願のECMデビューを飾った福盛進也が、これまでの歩みを自ら綴る連載企画。



【第ニ章】―疾走―

中学生になり、運動好きで特に足に自信があった僕は入学早々陸上部に入った。小学生の頃50m走は必ずクラスでトップだったし、そしてまた、高校で陸上をやっていて今でも大の陸上ファンの父の影響もあり、自分にとっては自然な流れだった。それと同時にバイオリンを弾く機会も少なくなり遂には辞めてしまった(しかし何故かピアノはまだ続けていたのだが)。

陸上部に入った僕は、何もかもが新鮮でただ走ることが楽しくて、練習に毎日参加していた。学校の外周がちょうどトラック2周分(800m)あり、練習の一部でその外周を走るのが日課だった。もちろんただ走るだけではなく、タイムを計り他の部員とレースみたいなこともした。そしてそのレースのタイムが良く、自分は中距離(主に800mや1500m)の選手になった。

余談になるかもしれないが、中距離走というと地味な競技に聞こえるかもしれないが、短距離のほどのスピードではないが長距離ほど抑えて走ることも一切なく、ほぼ全力疾走で他の選手との駆け引きをする、陸上界では一番過酷な競技だとも言われている。ただ、そういった面も含めて僕は中距離がとても好きだったのだ。


駅伝を走った後


そして陸上部に入って初めての大会、中学一年の夏前に長居公園陸上競技場で行われた。もちろんエントリーは800m走。「コール」と呼ばれる、エントリーをした選手が当日改めてレースの参加確認をする作業があり、初めての自分も緊張しながらコールを済ませた。そのコールの時点でその場に居なければ「コール漏れ」と判断され、失格になりレースに参加できないという、選手にとって非常に怖いものであった。

他競技で頑張る部活仲間を応援し、自分の番がどんどんと近づいて来た。スタンドから一階に降り、室内練習場でスパイクに履き替えウォームアップを始める。そして遂にその時が。走者が集まり最終点呼。大きく返事をしスタート地点に並ぶ。僕はかなり背が低かったのだが、周りにはもっと大きな中学二年、三年の選手もいる。緊張しながらスタートの合図を待つ。

「バンッ!」

一斉にスタートし思いの限り走る。初めての大会なので駆け引きのことなんて頭に無い、ただ疾走するだけ。そしてあっという間に2周が終わりゴール、結果は優勝だった。後日、朝礼で校長先生に名前を呼ばれ全校生徒の前で賞状を渡され表彰され、自分のことをとても誇らしく思った。その時から陸上部では一目置かれる存在になり、中長距離の選手のまとめ役になっていった。


大会でもらった賞状


しかし、である。中学に入りたての初めての大会で優勝してしまったものだから、やる気が失せ次第に練習をサボるようになり、遂には幽霊部員となってしまった。大会の前日だけ練習に参加し、当日は筋肉痛で思うように走れなかった。それでも中学2年の時に駅伝のエース区間に抜擢され11人抜きをしてみせたり、800mや1500mの自己ベストを伸ばしたりと、その後も結果を出していたので顧問から激励されていたのだが、結局やる気が戻ることはその先なかった。

※記事中の写真は本人提供

(次回更新は3月18日の予定です)


第1回目はこちら↓
https://bluenote-club.futureartist.net/diary/147976?wid=68497



■福盛進也リリース情報
Shinya Fukumori Trio
『フォー・トゥー・アキズ』

NOW ON SALE  UCCE-1171
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