COLUMN/INTERVIEW

独占インタビュー:ケンドリック・スコットが語る、新作とブルーノート 後編:「ブルーノートの歴史は、“恐れずにやること”の歴史だと思う」

NYジャズ・シーンを牽引するトップ・ドラマー、ケンドリック・スコットがバンド「ケンドリック・スコット・オラクル」名義で新作『A Wall Becomes A Bridge』を4月に発表した。5月14日~16日に開催したブルーノート東京では、新作からのナンバーを中心に長年活動を共にするバンドならではの化学反応を随所に感じさせるパフォーマンスが絶賛を集めた。 新作、そして自身の所属するブルーノート・レーベルに対する想いを語ってもらったインタビューを2回に分けてお届けする。
 



―― 9月に日本公開されるブルーノートのドキュメンタリー映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』に出演していますが、あなたにとってブルーノート・レーベルとは何でしょうか?

ケンドリック:ブルーノートには壮大な歴史があって、今、若手のひとりとしてその歴史に関わらせてもらえて光栄に思っている。ウェイン・ショーターは僕に、「ジャズとは恐れずにやることだ」と言ったことがあるけれど、ブルーノートの歴史はまさにその「恐れずにやること」の歴史だと思う。


―― 撮影の時のエピソードを教えてください。

ケンドリック:ブルーノート・オールスターズの一員として「マスカレロ」をレコーディングしたときのことだけれど、あの曲は、しばらくの間ワン・コードでやっていて、誰かがメロディを吹き始めたらコード・チェンジに入ることになっていた。ところがデリック・ホッジが、そのままワン・コードでベースを弾き続けたんだ。そういう時には演奏を止めて訂正してもいいんだけれど、何かおもしろいことが起こるチャンスでもある。で、ウェインは「いいぞ、いいぞ!」みたいな感じで周りを見渡しているんだよね(笑)。彼は、予定外のことが起きたのを察知して、それを新たなことをやる出発点にするというのを、ずっとやってきたんだ。ハービーとウェインのやり取りも、言葉を超えた禅問答みたいだったな。


―― ブルーノートの往年の名盤で、あなたがいちばん好きなアルバムは何ですか?

ケンドリック:ホレス・シルヴァーの『ソング・フォー・マイ・ファーザー』は子供の頃から聴いていて、今でも大好きなアルバムだね。それからボビー・ハッチャーソンの『コンポーネンツ』、サム・リヴァースの『コントゥアーズ』、ハービー・ハンコックの『エンピリアン・アイルズ』や『処女航海』、リー・モーガンの『ザ・プロクラスティネイター』、僕の原点と言えるアート・ブレイキーの全て。あとはマイルス・デイヴィス・オールスターズに、ウェイン・ショーターの『スピーク・ノー・イーヴル』。あのアルバムに入っている「インファント・アイズ」は、あらゆる曲の中でいちばん好きだよ。


取材:坂本 信
取材協力:ブルーノート東京


インタビュー前編はこちら↓
https://bluenote-club.futureartist.net/diary/197776?tags=COLUMN&wid=67719



■映画情報



ドキュメンタリー映画
『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』
監督:ソフィー・フーバー出演:ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ルー・ドナルドソン、ノラ・ジョーンズ、ロバート・グラスパー、アンブローズ・アキンムシーレ、ケンドリック・スコット、ドン・ウォズ、アリ・シャヒード・ムハマド(ア・トライブ・コールド・クエスト)、テラス・マーティン、ケンドリック・ラマー(声の出演) etc.
字幕翻訳:行方 均 配給:ポリドール映像販売 協力:スターキャット 2018年 スイス/米/英合作 85分
9月6日(金)、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開
映画日本公式サイト www.universal-music.co.jp/cinema/bluenote