COLUMN/INTERVIEW

ライヴレポート:BLUE NOTE plays BLUE NOTE (第2回)

史上最強のジャズ・レーベル、ブルーノートの創立80周年を祝うライヴ・イベント「BLUE NOTE plays BLUE NOTE」の第2回目が、7月17日に東京青山のブルーノート東京で開催された。


「BLUE NOTE plays BLUE NOTE」は、“ブルーノート東京でブルーノート・レーベルのヒット曲を演奏する”というコンセプトで、創立75周年の2014年から2015年にかけて計6回開催された。創立80周年の今年、4年ぶりに復活。1月に2日間にわたって開催された第1回目は、ジェイムズ・フランシーズとトニー・アレンの現ブルーノート所属の新人と巨匠をゲストに迎えて大きな話題となった。

単なる名曲の焼き直し演奏ではなく、楽曲を現在の解釈でアレンジし、それをここでしか見られない組み合わせでプレゼンテーションする、という企画。2回目の今回も、黒田卓也(tp)、西口明宏(ts)、井上銘(g)、宮川純(org, p)、角田隆太(b)、菅野知明(ds)という、現在の日本ジャズ・シーンをリードする演奏家が集結したスペシャル・バンドがステージに立った。



まずは、井上抜きのクインテット編成で、ホレス・シルヴァー作「スプリット・キック」。ハード・バップの幕開けを記録したアート・ブレイキー・クインテットの歴史的ライヴ録音『バードランドの夜』のオープニング・ナンバーで、今年が録音(1954年)から65年にあたるということで選曲された。オーセンティックなハード・バップ・ナンバーだが、メンバー皆、学生時代に何度も演奏していたそうで、寛いだ雰囲気の中にもホットなソロ・リレーを繰り広げた。



続いて、井上銘が登場し、宮川~菅野とのトリオで、ケニー・バレルの名曲「ミッドナイト・ブルー」を披露。新主流派と並ぶ60年代ブルーノートを代表するオルガン・ジャズ・トリオの編成だが、井上によるワルツ・フィールの斬新なアレンジはもちろん、浮遊感のある音色と堂々たるプレイで、最先端のソウル・ジャズと呼ぶべきサウンドを披露した。また、今回初参加となった菅野のタイトかつ懐の深いグルーヴも特筆に価するものだった。



他のメンバーがステージに戻り、リー・モーガンのヒット曲「ザ・サイドワインダー」を演奏。黒田×西口、宮川×井上という2種の楽器どうしのソロ・トレードを交えて大いに盛り上げ、前半のクライマックスを創出した。BN-LA時代の歌姫マリーナ・ショウのヒット曲「フィール・ライク・メイキング・ラヴ」は、メロウなムードから熱いファンク・サウンドに切り替わる宮川のドラマティックなアレンジが光るナンバー。心地よいグルーヴで、客席には身体を揺らす観客の姿が見受けられた。



ここで、今回のスペシャル・ゲストのサックス奏者マーカス・ストリックランドが登場。2015年にブルーノートに移籍後、『ニヒル・ノヴィ』(2016年)、『ピープル・オブ・ザ・サン』(2019年)の2枚の意欲作を発表。また、ロバート・グラスパー等とともにブルーノート・オールスターズの一員として、ドキュメンタリー映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』(9/6日本公開)にも出演している。まず、クリスチャン・マクブライドのアルバムに提供した自身のオリジナル曲「シーク・ザ・ソース」を、黒田~角田~菅野とともにピアノレス編成で演奏。複雑なメロディのマイナー・ブルースで、場内を一気にニューヨークのムードに変えた。マーカスは艶やかなトーンで説得力のあるソロを披露。マーカスとはNYのニュースクール大学時代の先輩後輩の間柄だという黒田のプレイも圧巻だった。



そして、メンバーが全員ステージに集結し、冒頭の「スプリット・キック」と同様、『バードランドの夜』に収録された「チュニジアの夜」を演奏。ここでは、マーカスと西口の2本のテナー・サックスによるソロ・チェイスが場内を最高潮に盛り上げた。マーカスと見事に張り合う西口のエネルギッシュなプレイは、今回のライヴのハイライトの一つと言って過言ではない。

アンコールはホレス・シルヴァーのヒット曲「ソング・フォー・マイ・ファーザー」。3管編成を活かした宮川の秀逸な新アレンジで、熱く盛り上がった場内の空気をクールダウンさせる美しいハーモニーを聴かせた。



尚、ステージのMCで語られた通り、日本人バンドはライヴの翌日レコーディング・スタジオに入り、ステージで披露した曲を録音した。今秋リリース予定のアルバムはもちろん、それを携えた次回のライヴが早くも楽しみだ。

(Photo by Takuo Sato)