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『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』ジャパン・プレミア試写会 ドン・ウォズ×亀田誠治 SPECIAL TALK SESSION with J-WAVE レポート

さる6月12日、東京・渋谷のユーロライブにおいて、映画「ブルーノート・レコード ジャズを超えて」のジャパン・プレミア試写会が開催された。当日は上映に先駆けて、現ブルーノート社長のドン・ウォズ氏と、音楽プロデューサーの亀田誠治氏によるスペシャル・トーク・セッションが行われた。

ウォズ氏、亀田氏ともに数々のアーティストを手掛ける名プロデューサーであると同時にベーシストでもあることは周知の事実だが、実は彼らには、さらにもう1つ共通点がある。それは2人ともティーンエイジャーの頃から大のブルーノート・ファンであるということ。MCを務めたJ-WAVE「STEP ONE」ナビゲーターのサッシャが水を向けると、まずウォズ氏が音楽少年のようにブルーノートとの出会いを熱く語りはじめた。



ウォズ:1966年、14歳の時でした。母親の買い物につきあわされて、私は車の中で待っていたのですが、退屈なのでラジオのチューナーをいじっていたら、突然ある曲が流れはじめました。それは音楽というよりもまるでむせび泣きのようでね。それがジョー・ヘンダーソンの〈モード・フォー・ジョー〉でした。

ラジオで音楽に出会ったのは亀田氏も同様で、FENで洋楽にのめり込んだという。そしてついには自分でもベースを弾きはじめる。

亀田:最初はエレクトリック・ベースでしたが、だんだんウッド・ベースも弾きたくなって、そんな中で出会ったのがポール・チェンバース。大好きになって彼が参加している作品を聴き漁っていたら、必然的にブルーノートのアルバムに数多く触れることになったんです。中でも愛してやまないのが、バド・パウエルの『ザ・シーン・チェンジズ』です。

ではブルーノートこの1枚は?と問われると、ウォズ氏は一瞬の躊躇も見せず「ウェイン・ショーターの『スピーク・ノー・イーヴル』」とひとこと。その瞬間、一部の観客から小さな歓声と拍手が起こる。

ウォズ:演奏というよりも、まるで会話しているようなんです。ウェインもエルヴィン(・ジョーンズ)も。ハービー(・ハンコック)のピアノも、ハーモニーがすごく洗練されていて素晴らしいです。

ここで突然亀田氏がウォズ氏に直に質問。彼が出会った頃のブルーノートとは、どんな感じだったのか?

ウォズ:世界で一番クール。聴いていると自分もクールになったようでした。モノクロのアルバム・ジャケットも大好きでしたね。




さて、ブルーノートを語る上で絶対に忘れてはならないのが、レーベル創業者でありプロデューサーだったアルフレッド・ライオンだ。この大先輩から2人が受けた影響は?との質問に、まず亀田氏が「とにかくミュージック・ファーストであること。アーティストがやりたい音楽をできるよう、最大限良い環境を提供した。それが他レーベルともっとも違うところだと思います」と答えると、それに対しウォズ氏も「そう、映画にも出てきますが、1939年、ブルーノートは“アーティストに、純粋に音楽をやる自由を与える”というマニフェストを出しましたからね」と大賛同。さらにそこから話は過去から未来へ、すなわち今後のブルーノートの、ひいてはジャズの方向性へと及ぶ。

ウォズ:(セロニアス・)モンクにしろ(アート・)ブレイキーにしろ、ジャズの巨人たちは皆、それまでの音楽をすべてマスターした上で、それを使ってさらにジャズの境界を押し広げていきました。今ブルーノートに在籍しているアーティストも同じです。ロバート・グラスパーはヒップホップとジャズを巧みに融合させたけどそれは一例であって、それぞれのアーティストが自分のやり方で境界を押し広げています。一方向だけにではなく、アーティストの数だけ様々な方向に広がっていっている、それが今のブルーノートだと思います。

亀田:ジャズというのは、常に新しい音楽を取り込んで進化し、それを新しい世代につないでいく、音楽の中で本当に重要なポジションを占めていると思います。まさにボーダーレス。今やジャズは、ジャンルというよりも音楽全体を指すものであって、それをまとめ上げているのがブルーノートなんじゃないでしょうか。

トークは次第に熱を帯び、あなたにとってジャズとは?という直球質問に対し、ウォズ氏の「昨日と同じ演奏を今日はするな、ということ」という名言が飛び出したり、亀田氏がウォズ氏にレディー・ガガの映画『アリー/ スター誕生』への出演秘話を尋ねたり。そしてセッションの締めは、2人からの映画のみどころ。

亀田:この映画を観ていると、ジャズという音楽がいろいろな進化を遂げて、今音楽の最先端にいる、ということがわかります。そこのところをワクワクしながら観てほしいです。あとハービー・ハンコックやウェイン・ショーターも出てきますが、彼らがとても元気(笑)。そこにも勇気をもらえます。

ウォズ:一番好きなシーンは、グラスパーやケンドリック・スコットたちがハービーやウェインといっしょに演奏するシーン。あれは実は一切の打ち合わせなしで、最初は手探り状態でしたが、それが素晴らしいものに仕上がっていく。ぜひそこを観てほしいですね。



(文:藤本史昭)



■映画情報
ドキュメンタリー映画
『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』
監督:ソフィー・フーバー
出演:ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ルー・ドナルドソン、ノラ・ジョーンズ、ロバート・グラスパー、アンブローズ・アキンムシーレ、ケンドリック・スコット、ドン・ウォズ、アリ・シャヒード・ムハマド(ア・トライブ・コールド・クエスト)、テラス・マーティン、ケンドリック・ラマー(声の出演) etc.
字幕翻訳:行方 均 配給:ポリドール映像販売 協力:スターキャット 2018年 スイス/米/英合作 85分
9月6日(金)、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開
映画公式サイト https://www.universal-music.co.jp/cinema/bluenote/

日本版トレーラー映像



■リリース情報
『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』
オリジナル・サウンドトラック

2019. 8. 14 ON SALE
2CD:UCCQ-1102/3 \2,700 (tax in)

CD 1
1. ベイエナ / ブルーノート・オールスターズ
2. サコタッシュ / ハービー・ハンコック
3. サマータイム / シドニー・ベシェ
4. イン・ウォークト・バド / セロニアス・モンク
5. ウン・ポコ・ロコ / バド・パウエル
6. ダンス・ライン / ハービー・ニコルス
7. ブルー・トレイン / ジョン・コルトレーン
8. アイ・ウェイテッド・フォー・ユー / マイルス・デイヴィス
9. サムシン・エルス / キャノンボール・アダレイ&マイルス・デイヴィス
10. メイリー* / アート・ブレイキー
11. モード・フォー・ジョー / ジョー・ヘンダーソン

CD 2
1. マスカレロ feat. ウェイン・ショーター&ハービー・ハンコック / ブルーノート・オールスターズ 
2. フィー・フィ・フォ・ファム / ウェイン・ショーター
3. フリー・フォー・オール / アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
4. ザ・サイドワインダー / リー・モーガン
5. ソング・フォー・マイ・ファーザー / ホレス・シルヴァー
6. ビリー・ジョーの唄 / ルー・ドナルドソン
7. スピニング・ホイール / ロニー・スミス
8. カンタループ / Us3
9. ドント・ノー・ホワイ / ノラ・ジョーンズ
10. ブラック・レディオ feat. ヤシーン・ベイ / ロバート・グラスパー・エクスペリメント

https://store.universal-music.co.jp/product/uccq1102/