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【インタビュー】テーマは「人とのつながり」 音楽を信じるノラ・ジョーンズが今の世界に思うこと(後編)


Photo:Diane Russo


6月12日に約4年半ぶりのオリジナル・ソロ・アルバム『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』をリリースしたノラ・ジョーンズ。先週公開したインタビューの前編では、アルバムを作るに至った経緯や、ソング・ライティングに込める思いなどを掘り下げた。

前半のリンク: https://bluenote-club.com/diary/327499?wid=68497

2週に渡ってお送りするインタビューの後半では、彼女の書いた楽曲を一緒に演奏するアーティストに焦点を当てる。このアルバムでは、総勢20名以上のアーティストが登場し、彼女と音色豊かな演奏を繰り広げる。各楽曲に固定メンバーを置いていないところも、アルバムの深みをより一層濃いものした所以であるが、各セッションが生まれるまでの過程は一体どういったものだったのだろうか。

また、海外からは早くも絶賛のレビューが届いており、世界的な経済誌であるForbes(フォーブス)は世界を取り巻く現状を受けて「2020年という前例のない混乱の中で、私達が今、必要としているのは落ち着きと癒しだ。」としたうえで、2001年の9.11以降、しばらく混沌としていた世界に安らぎをもたらした、ノラのヒット・アルバム『ノラ・ジョーンズ』(洋題:Come Away With Me)を引き合いにだし、「『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』は2002年に『ノラ・ジョーンズ』でジョーンズが音楽の世界を席巻した際に、聞き手を虜にした全ての理由を改めて思い出させてくれる」と評した。

確かに、彼女の温かい音楽は聴く人の心を癒す力があると感じる。理由は違えど、2002年と同じように、今また世界が大きな不安や困難に立ち向かっている。そして、そのような時代に、また、ノラ・ジョーンズがアルバムをリリースした。アルバムでは、“人とのつながり”をテーマに孤独などの困難に直面しながらも乗り越えていこうとするストーリーが全曲を通して綴られており、彼女自身も今の世界と通ずるものがあると語っている。


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『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』では固定のメンバーがいるわけではなく、合計20人以上のアーティストが参加していて、色々な音が聴けてとても面白いと思いました。アルバムを作る上で様々なセッションがあったと思いますが、コラボレーションの相手やセッションはどのように生まれていくのでしょうか。

― コラボレーションの時は大抵の場合、私が発起人ね(笑)それぞれのアーティストに直接電話をして、空いているかどうか聞いて、私と何かコラボレーションをすることに興味を持ってくれるかどうかを確認するところから始まるの。これのいいところって、プレッシャーがそんなにないこと。いちかばちか的なところはあるんだけど、誰にもプレッシャーを与えない。もし、気に入られなければ、それでいい。ヒット・シングルを作るプレッシャーを与えるつもりもなく、ただ単に自由に誰かと音楽を作ろうとしているだけで、言ってしまえばただ楽しみたいだけ。コラボレーターにも同じように感じて欲しかったの。こうやっていろいろな人達とコラボレーションができたのは楽しかったし、こういった形でしか生まれないものもあると思う。

今回のアルバムにおいては、いろいろなアーティストとのコラボレーションもあったけど、例えばブライアン・ブレイドにはアルバムの70%ぐらいでプレイしてもらっているから、すべてがバラバラのコラージュっていうわけではなくて、固定メンバーっぽいような側面もあると思う。

これまでギターをメインにしたアルバムも多く出されていますが、今回はピアノがメインなんですね。

― そうね、ほとんどピアノ・トリオで演っているの。私とドラマーとベース・プレイヤーで。ドラマーは数名起用していて、ベーシストも3人いる。やっぱり、私の音楽でピアノ・トリオが原動力になっていることは確かね。ギターに関しては、ジェフ・トゥイーディーとはシカゴで2曲だけレコーディングをしたわ。この曲は、ギターがいっぱい入っている。この2曲は唯一ギターが多く入っている曲ね。

■「アイム・アライヴ」 MV



ジェフ・トゥイーディーは前作『ビギン・アゲイン』から参加していますが、先行シングル「アイム・アライヴ」など彼との共同作業はあなたにどんな影響を及ぼしましたか?

― 彼とは、もう2年ぐらい前だったかしら?1年ぐらい前だったかしら。忘れちゃったけど、一緒に3日間ぐらいスタジオにこもってレコーディングしたことがあるの。3日間で、4曲一緒に作曲して、レコーディングをした。その中から今回のアルバムにはいいヴァリエーションを与えてくれた曲が入ることになった。一緒にレコーディングしたり、プレイしたりするのは楽しかったし、彼も私に良いインスピレーションを与えてくれる一人よ。

ちなみに、今回のアルバム作りで、一番影響を受けたアーティストはどなたでしょうか?

― おそらく今回のアルバムで一緒にスタジオに入るのを一番心待ちにしていたのは、ブライアン・ブレイドだった。彼とはツアーも一緒にしたし、そういう過程を経て、やっと、どういう音楽を彼と一緒に演奏したら一番いいのかというのがわかってきて、今回のアルバムではそういう方向性で曲を書いていった。曲作りなどにいろいろ良い影響を与えてくれる人よ。よく説明できないんだけど、彼のグルーヴ感とかが好きなの。今回のアルバムで一緒に演奏した人達はみんな楽しかったわ。でも、おそらく色んな意味でブライアン・ブレイドが一番多くアルバムに参加していると思うわ。

ブライアン・ブレイドは世界最高峰のドラマーとして、ボブ・ディランなどの数多くのアーティストから引っ張りだこと伺っています。彼とはどうやって一緒に音楽を作っているのでしょうか。

― うーん、曲作りを一緒にするというよりも、とてもユニークなグルーヴを思いついてくれるの。そうするとそれをレコーディングに活かそうと思って録っておいたりする。それがとてもスペシャルな音だったりするのよね。彼は歌詞を良く聴いてくれる。音だけではなくて歌詞を聴いて、その歌詞に合わせてドラムをプレイするの。それがとても心地いいの。

少し、楽曲に関して教えてください。先行配信となっている「ハウ・アイ・ウィープ」はどういう思いを込めた楽曲でしょうか。またアルバムには1曲目に収録されている楽曲になると思います。これを最初にもってきた理由があれば教えてください。

― これは詩から生まれた曲。昨年ぐらいから詩の世界に導いてくれた友達がいたのね。詩なんて、今まであまり書いたことがなかったけど、詩集とか読むことによって、結構ハマって行った。あと、子供達にドクター・スースの絵本とかを読んではいたの。ライムに溢れる世界だから。ことばを綴り始めたら、それらのものが詩になっていった。書いた詩はとても気に入ったんだけど、詩集を出す気もなかったので、それを歌にしていったの(笑)実際に歌にしてみたら、今まで私が書いてきたものとは、まったく違うものになっていった。初めての感覚でとても気に入っているわ。
一ヶ月ぐらい前に「アイム・アライヴ」をシングルとしてリリースしたんだけど、それからこのウイルス騒ぎになって、アルバムのリリースを一ヶ月延期することになったのね。でも、アルバムを出す前に数曲シングルとしてリリースしたかった。みんなに少しでもこのアルバムからの曲を聴いて欲しかったから。このアルバムの特徴として、孤独に溢れている感じがして、特にこの曲は、隔離されているという雰囲気を持つものだった。今の時代をぴったり表わしたものだったと思う。

日本盤ではボーナス・トラックとして収録される「トライン・トゥ・キープ・イット・トゥギャザー」が急遽シングルとしてリリースされると伺いました。こちらはどういった経緯で公開にいたったのでしょうか。込めた思いがあれば教えてください。

― 一ヶ月ぐらい前にマスタリングをして、この曲を聴いていたの。その時にはもう世界は今の危機真っただ中で、そんな時に聴いていたからかもしれないけれど、この曲が頭から離れなかったのよね。アルバムに入れるには、あまりに寂しくて、暗い曲だなと思っていた。だから、ボーナス・トラックにしたんだけど、今は、この曲が今の世の中を代弁しているような気がするの。多くの人達が共感してくれれば嬉しい。

「トライン・トゥ・キープ・イット・トゥギャザー」パフォーマンス・ビデオ



ありがとうございます。少しお話にもでましたが、今世界的に大きな危機に直面しています。家から外に出られないファンたちにとっては、SNSでのライヴ配信「ミニ・コンサート・ライブ・イン・ザ・ホーム」が大きな励ましになっていると思います。

― 一人の人にでも、勇気を与えることができれば、それは価値のあるものだと思って挑戦してみているわ。

そういったファンの方々や、がんばるすべての人に一言、お願いします。

― 今みんな大変な思いをしていると思う。私にとって音楽を聴く事って、気分が良くなったり、踊りたくなったり、泣きたくなったり、何かを忘れさせてくれるもの。違うところに連れていってくれるものなの。それが大切なこと。何かを感じさせてくれるものなのね。
自分ができることを人にしてあげられるのは、私にはとてもうれしいことで、これが、私が本来やっていることだから、ずっとやり続けようと思う。一人でも誰かの気分が良くなるのなら、やる価値があるものだと思っている。でも、もし、誰の気分もよくならなくても、私が気分よくなるからいいの(笑)プレイできるだけでも、気持ちいいもの(笑)みんなにとっても、私の活動で、何かポジティヴなことはあると願っているわ。
今回のアルバムはとてもタイムリーな内容だと思う。書いた時は、こんなことが起きるなんていうことを想定して書いたわけではないんだけど、今私達がまさに経験していることがメッセージになっているから、とても不思議なのよね。内容的には、人間そして、人との繋がりをテーマにしたものなの。だから、少しでも音楽の力を届けられたらと思う。これからも積極的に音楽を発信していこうと思っているから、これが誰かの癒しになれば、こんなに嬉しいことはないわ。

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「癒しのノラ・ジョーンズ」プレイリスト
https://jazz.lnk.to/norah_pli

【リリース詳細】
ノラ・ジョーンズ『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』

発売日:2020年6月12日(金)
通常版: ¥2,860 (税込) UCCQ-1125 
初回限定盤: ¥3,630(税込)  UCCQ-9571
https://norahjones.lnk.to/PickMePR

ノラ・ジョーンズ「トライン・トゥ・キープ・イット・トゥギャザー」
デジタル配信中
https://norahjones.lnk.to/cT6kw

【収録曲】
01. ハウ・アイ・ウィープ / How I Weep
02. フレイム・ツイン / Flame Twin
03. ハーツ・トゥ・ビー・アローン / Hurts To Be Alone
04. ハートブロークン、デイ・アフター / Heartbroken, Day After
05. セイ・ノー・モア / Say No More
06. ディス・ライフ/ This Life
07. トゥ・リヴ / To Live
08. アイム・アライヴ / I'm Alive
09. ウァー・ユー・ウォッチング? / Were You Watching?
10. スタンブル・オン・マイ・ウェイ / Stumble On My Way
11. ヘヴン・アバヴ / Heaven Above
12. ストリート・ストレンジャー / Street Stranger *ボーナス・トラック
13. トライン・トゥ・キープ・イット・トゥギャザー
/ Tryin‘ To Keep It Together *ボーナス・トラック

【初回限定盤DVD】
「アイム・アライヴ」ミュージック・ビデオ
「アイム・アライヴ」日本語リリック・ビデオ(歌詞対訳:川上未映子)
「ビギン・アゲイン」リリック・ビデオ
「フリップサイド」ミュージック・ビデオ

【初回限定盤 封入特典】
別冊スコア・ブックレット 3曲分
「アイム・アライヴ」
「フレイム・ツイン」
「ハーツ・トゥ・ビー・アローン」

■リンク
・Universal Music: https://norahjones.jp/
・Twitter: https://twitter.com/NorahJones
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