COLUMN/INTERVIEW

モダン・ジャズの聖地RVGスタジオからライヴ配信! 第2弾はオルガンのジョーイ・デフランセスコが登場。



文・写真:常盤武彦


数々の名盤が生まれ、モダン・ジャズの神殿の名にふさわしいルディ・ヴァン・ゲルダー(RVG)・スタジオの全貌が明らかになる。日本時間の5月16日(日)の午後8時より、現代のハモンド・マスター、ジョーイ・デフランセスコをフィーチャーして、RVGスタジオから全世界にライヴ配信が行われる。その見どころ、聴きどころをお伝えしたい。

モダン・ジャズの歴史を紐解くと、その重要な瞬間に数多く立ち会ったレコーディング・エンジニアがいる。2016年に世を去ったRVGことルディ・ヴァン・ゲルダーである。1950年代初頭から、ブルーノート、プレスティッジ、サヴォイのレコーディングを手がけ、1960年代以降はインパルス、CTI、ハイノート、サムシンエルスと、数々のレーベルにその足跡を刻んでいる。マイルス・デイヴィス(tp)のプレスティッジのマラソン・セッション、ジョン・コルトレーン(ts)のジャズを変革したインパルスの諸作。アート・ブレイキー(ds)&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ、ウェイン・ショーター(ts, ss)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)と多くのジャズ・レジェンドが、ヴァン・ゲルダーによって最高のサウンドでアルバムを残した。

 


ルディ・ヴァン・ゲルダー


初期は両親がレコーディング・スタジオに転用できるように作ってくれたニュージャージー州ハッケンサックの自宅リヴィング・ルームのスタジオで録音していたが、1959年にニュージャージー州イングルウッドクリフスに、オーケストラやビッグ・バンドのレコーディングも可能な、他に類を見ない大規模な個人スタジオを建築する。ヴァン・ゲルダーの要望を取り入れた、フランク・ロイド・ライトの後継者の一人であるデヴィッド・ヘンケンの設計によるスタジオは、四角錐の木製の天井と石造りの壁に厳選した建材が使われ、そのナチュラル・リヴァーヴのかかったサウンドは唯一無二であり、今日聴かれるジャズ・レコーディング・サウンドのレファレンスとなる。1999年にブルーノート・レコード60周年を記念してはじまったRVGデジタル・リマスター・シリーズは、全世界で好評を博し、ヴァン・ゲルダーの再評価を高め、プレスティッジ、CTIのリマスター・シリーズへと展開した。

 


RVGスタジオ


スタジオ内の機材の撮影は一切禁止で、同業者を一切受け入れず、基本的に一人で作業を進め、録音機材の機種名も隠す秘密主義で、長年謎のヴェールに包まれていた。ヴァン・ゲルダーはそのスタジオを、側近のドン・シックラー(tp, arr, producer)とその妻モーリン・シックラーに託した。モーリン・シックラーは1986年から、ヴァン・ゲルダー生涯唯一のアシスタントを務めた人物である。シックラー夫妻によってヴァン・ゲルダーのレガシーは継承され、現在もモーリン・シックラーがエンジニアを務め、RVGスタジオのコンソールには灯がともっている。

昨年11月、あまり自分の録音した作品の好みついて語らないヴァン・ゲルダーが、「実は最も気に入っているアルバムの一つ」と評していた、ハンク・モブレー(ts)が1960年にブルーノートに録音した傑作『ソウル・ステーション』の60周年を祝して、ジョー・ロヴァーノ(ts)、ロン・カーター(b)、ケニー・ワシントン(ds)らヴェテランに、若手のイザイア・J・トンプソン(p)を加えたカルテットがトリビュートを捧げた演奏が、”Live from Van Gelder Studio"として全世界にライヴ・ストリーミング配信された。1960年代と同様に、録音ブースを使わず広いスタジオ・ルームにミュージシャンを配した演奏は、かつてのエネルギーに満ちていた。

Hank Mobley Tribute 予告編


そして第2回の”Live from Van Gelder Studio"に登場するのは、若くしてハモンド・マスターの地位を確立したジョーイ・デフランセスコ(org)だ。ジミー・スミス、レイ・チャールス、ラリー・ヤング、ジャック・マクダフ、ジミー・マクグリフ、シャリー・スコットら数々のオルガン・レジェンドがプレイしたヴァン・ゲルダー・スタジオのオルガンで、ソウルフルでスピリチュアルなパフォーマンスを聴かせてくれるだろう。サイドを固めるのは堅実なプレイのピーター・バーンスタイン(g)、ヴェテランのビリー・ハート(ds)、そしてゲストはRVGスタジオで多くのアルバムを録音しているヒューストン・パーソン(ts)だ。ストリーミングは5月15日(土)の米東部時間午後9時(日本時間の16日午前10時)で、視聴料はUS$15.00。今回は日本/アジア・エリアに向けて日本時間の16日(日)の午後8時、ヨーロッパの標準時間でも同日午後8時(米東部時間の5月16日午後2時)と3回配信される。RVGスタジオの全貌が、いま明らかになる。

Joey DeFrancesco 予告編

 
 

The Van Gelder Studio Organ Featuring Joey DeFrancesco
Live from Van Gelder Studio ライヴ配信



2021年5月16日(日) 午後8時(日本時間)より
視聴チケット購入・詳細はこちら https://www.vangelder.live/