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飛躍の年を迎えたジョン・バティステ 今世界が注目する彼がアルバム『ウィー・アー』を進化させた訳

文:服部のり子

 2021年は、ジョン・バティステ躍進の年になった。3月にアルバム『ウィー・アー』がリリースされて、翌月のアカデミー賞授賞式では映画『ソウルフル・ワールド』のサントラで作曲賞を受賞。その名誉に合わせて、彼がジョージ・フロイド事件に抗議する活動をとても平和的に行った、ニューヨークでのデモ行進があらためて話題になるなど、日本での注目度もかなり高まった。来日が叶っていたら、もっともっと人気爆発となっていたはずだ。
それがちょっと惜しいなと思うなか、年末へのカウントダウンが始まるタイミングで『ウィー・アー』のスペシャル・エディション盤が届けられた。追加されたのは6曲で、新たなゲストが3組。これで全19曲収録のボリュームとなり、曲順も大幅に変わった。
 今回スペシャル・エディション盤をリリースする理由は、どこにあるのか。しかもよくありがちな未発表曲をアルバムの最後に追加したような作品ではない。あらたな編成が大きな魅力だ。そこにもきっと彼らしい理由があるはずだ。多忙のなか、日本のインタビューに応じてくれた。


(c)Louis Browne


――少し時間が経ちましたが、アカデミー賞受賞おめでとうございます。授賞式で感動のスピーチもしましたが、あの時のことは覚えていますか?
「現実なんだけれど、夢みたいな不思議な感覚があった。受賞するとは予想していなかったので、自分の中で沸き起こっている感情を理解するのが難しかった。今でもあの時のことを思い出すけれど、スーパーボールで優勝したような超特別な気持ちなのかなと思ったりしている」

――それから9月のエミー賞の授賞式ではハリケーン・カトリーナの被害を受けた、ニューオリンズの街の写真をプリントしたスーツで登場しましたよね。あれはどんな理由から?
「もう一度みんなに気候変動の実態をちゃんと認識してほしかった。あの大きな被害をもたらしたハリケーンから15年経った今も、有効的な対策が取られていない。その危機をみんなと共有したい、感じてもらいたいと思ったからなんだ」

――そういうことだったんですね。さて、なぜスペシャル・エディション盤をリリースすることになったのか、教えてもらえますか。
「実は、オリジナルには収録しきれないほど多くの曲をレコーディングしていたので、その全てをみなさんに聴いていただいて、『ウィー・アー』の章を閉じるのに最適な時期が今だと感じたので、リリースすることにした。この2作を喩えるならば、オリジナルがディレクターズカットの映画だとすると、スペシャル盤は、制作過程を記録したドキュメンタリー映画のようなものだと思っている」

――前回のインタビューで曲順にこだわりがあると言っていましたよね。それを変更したのはどうしてですか?
「単にアルバムの最後に曲を追加するような編成だけは避けたかった。6曲を追加したことで、リスナーにはまた新たな音楽の旅を感じてほしかったので、曲順もスペシャル盤に合わせて変える必要があると思った。今回もまたストーリーを感じてもらえるはずだよ」

――その新曲で迎えたゲストについて教えてください。まずは、『アダルトフット』のBJ・ザ・シカゴ・キットから。
「彼とのコラボレーションは、とても楽しかった。本当に素晴らしいアーティストで、ニューオリンズやR&B、ゴスペルに根差しつつ、そこにカリブ海の音楽の要素も入っているようなソウルフルな曲を一緒に作った。この曲での彼の歌い方を僕は、とっても気に入っているんだ」



――フランス人のアビ・ベルナドスとはどうでしたか? 彼と共演した『ウィー・アー』にはモンマルトル・リミックスと付けられているけれど……。
「この曲のフランス語ヴァージョンを作りたいと思い、映画『ソウルフル・ワールド』のフランス盤に参加していたアビをレーベルに紹介してもらったんだ。彼の声が好きなのと、彼とは魂レベルでつながっているような縁を感じたので参加してもらった」

――彼とのレコーディング風景の映像が公開されているけれど、実際にひとつのマイクで彼と歌ったのでしょうか?
「パリでレコーディングしたんだけれど、スケジュールの都合で時間がなかった。その短時間のなかで彼と親密な関係を築きたかったのと、モータウン時代のような昔ながらの方法でレコーディングしたかったので、ひとつのマイクを2人で共有することにした。さらに言えば、ひとつのマイクで歌うことで歌い方も変わってくるんだよね」

――トリー・ケリーとのデュエットでは歌の途中で彼女の笑い声が聴こえてくるけれど、彼女は何に対して笑っているのかしら?
「『シング』という曲には歌というのは心を癒してくれる行為、そういう役割を担っているというメッセージがある。だから、歌から喜び、楽しさを伝えたかった。そのことを説明しなくても、トリーは理解してくれていたので、本当にいい雰囲気のなかでレコーディングすることが出来た。そのなかで自然と彼女の笑い声があがったので、それを生かすことにしたんだ」



――多忙を極めていると思いますが、来年はどんな活動が予定されているのか、教えていただけますか。
「大きな計画のひとつは、カーネギーホールで僕が作曲した交響曲を演奏すること。4月に演奏家全員が黒人というオーケストラで初披露することになっている。カーネギーでは他に異なる公演が2回予定されている。さらに映画、テレビ関連のプロジェクトがいくつか決まっているのと、今進行中なのが画家バスキアの生涯を描いたミュージカルの音楽制作。それがブロードウェイで上演されることになっている」

――来年の予定に来日公演は入っている?
「すぐにでも日本に行きたいよ。出来れば、交響曲を引っ提げて、日本人で編成されたオーケストラで演奏したいと思っている」

コロナが終息して、来日されることを心からお待ちしています。バンドとのパフォーマンスもぜひお願いします。


■リリース詳細
ジョン・バティステ 
『ウィー・アー デラックス・エディション』  

好評発売中
品番:UCCV-1190    
価格:\3,080税込 (SHM-CD)
https://JonBatiste.lnk.to/WEARE_DXEPR

【収録曲】
1. アイ・ニード・ユー
2. フリーダム
3. クライ
4. ボーイ・フッド
5. シングfeat. トリー・ケリー 
6. ウィー・アー
7. アダルトフッドfeat. BJ・ザ・シカゴ・キッド
8. ワッチュトーキンバウト
9. メイヴィス 
10. フリーダム – バウンス・リミックスfeat. ビッグ・フリーディア
11. テル・ザ・トゥルース
12. アンティル
13. テル・ザ・トゥルース ‐アップタウン・リミックス feat. ビッグ・シェフ・ロメオ・オブ・ザ・ナインス・ウォード・ハンターズ、マイケル・バティステ、マーディ・グラス・インディ
ン・ショウ 
14. ムーヴメント11’
15. ワーク・イット・アウト
16. アダルトフッド
17. ショウ・ミー・ザ・ウェイ
18. シング 
19. ウィー・アー feat. アビ・ベルナドス

■ジョン・バティステ リンク
UM公式: https://www.universal-music.co.jp/jon-batiste/
本国公式サイト: https://www.jonbatiste.com/
Twitter: https://twitter.com/jonbatiste
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Youtube: https://www.youtube.com/user/jonbatistemusic