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【連載】ジャズ百貨店 名盤BEST 20 第20回:ダイアナ・クラール『クリスマス・ソングス』

2016年の発売スタート以来、シリーズ累計出荷が75万枚を超えるユニバーサル・ジャズの定番シリーズ「ジャズ百貨店」。今秋新たなラインナップ100タイトルが登場するのに先駆けて、これまでに発売された全510タイトルの中から“いま”最も売れている20枚をピックアップし、個性豊かな執筆陣が紹介します。



文:青野賢一

 リッチな歌声、リッチなサウンド––––ダイアナ・クラール『クリスマス・ソングス』を端的に表現するならばこうなるだろうか。カナダに生まれ、1990年からはニューヨークを拠点に活動するピアニスト、シンガーのダイアナ・クラールは「第42回グラミー賞ベスト・ジャズ・ヴォーカル・パフォーマンス」、「第45回グラミー賞ベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバム」(『ライヴ・イン・パリ』)を受賞するなど、名実ともに現代のジャズ・シーンを代表するアーティスト。『クリスマス・ソングス』はそんな彼女が2005年にリリースした作品である。



 アルバム・タイトルからもわかるように、本作はオーセンティックなクリスマス・ナンバーを取り上げたもの。ビング・クロスビー、フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルドらの歌唱でも知られる「ジングル・ベル」––––原曲は19世紀中葉に教会のオルガン奏者だったジェームス・ロード・ピアポントが書いた曲––––にはじまり、「レット・イット・スノウ」、「ウィンター・ワンダーランド」、「ホワイト・クリスマス」、「そりすべり」といったクリスマスのホリデー・シーズンを彩ってきた20世紀のポピュラー・ソングが収められている。「ジングル・ベル」を除くと、収録曲はアメリカの黄金期と称される1950年代を挟んで前後10年ほどの楽曲で、その頃のアメリカのホーム・ドラマで描かれていた豊かで幸せに満ちた家庭のイメージを彷彿させるものである。


 現代アメリカ屈指のジャズ・オーケストラ、クレイトン・ハミルトン・ジャズ・オーケストラによる豊潤な味わいの演奏が、温かで多幸感のあるムードを醸しだし、親密な響きのダイアナ・クラールのヴォーカルとピアノを見事に際立たせており、クレイトン・ハミルトン・ジャズ・オーケストラを率いるひとり、ジョン・クレイトンの秀逸なアレンジが光る。クリスマス・シーズンにこのアルバムを聴くたび、「この季節はこうあってほしい」そんな気持ちが改めて心に浮かぶ。タイムレスな魅力を放つインティメイトな作品だ。


【リリース情報】
ダイアナ・クラール『クリスマス・ソングス』

UCCU-5895
https://store.universal-music.co.jp/product/uccu5895/

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