全米ジャズ・チャート1位をはじめ、世界的に大ヒット中のジョン・コルトレーンの未発表スタジオ・アルバム『ブルー・ワールド~ザ・ロスト・サウンドトラック』。
カナダのフランス語映画『袋の中の猫』のために録音された、コルトレーンにとって生涯唯一の映画音楽用のセッションで、1964年の録音から55年の時を経てアルバム化された、全ジャズ・ファン注目の作品である。
息子であり、本作でもエグゼクティヴ・プロデューサーとして名を連ねるサックス奏者のラヴィ・コルトレーンの最新インタビュー・コメントを2回に分けてお届けする。


『ブルー・ワールド~ザ・ロスト・サウンドトラック』

明らかに、これらすべてのパフォーマンスは凝縮されたものです。ジョンはこれらのトラックの用途をとても意識していたようです。彼らはアルバム用ではなく、映画に使われることを想定していました。

「ブルー・ワールド」という曲は、「アウト・オブ・ザ・ワールド」を下敷きにしたものです。ジョンの「アウト・オブ・ザ・ワールド」のヴァージョン(インパルス盤『コルトレーン』に収録)は、オリジナルのスタンダード・ナンバーの発展形のようでした。ジョニー・マーサーが書いた原曲と構造的に少し異なります。彼らはブリッジ・パートを演奏していないと思います。ジョンはここで、「アウト・オブ・ザ・ワールド」のカヴァー時よりも、さらにメロディを変更しています。色々なやり方で新しい作品に変えたのです。



ジョンがまだ若かった頃、彼らは皆映画を見に行くのが大好きだでした。彼らというのは、今年(2019年)亡くなった、いとこのメアリー・アレキサンダーのことです。彼女は私の父のいとこでしたが、彼らは兄弟姉妹のように成長しました。そして、週末に映画を観に行ったことをよく話してくれました。

父はコメディ作品が好きで、マルクス兄弟が好きでした。彼はこのセッション中にグルーチョとハーポのことを考えていたに違いありません。

 


この作品は、新しい何か、魔法のような何かを明らかにすることでしょう。そこには多くの成長と前進があるからです。バンドは古いレパートリーを扱っていますが、彼らは1964年までにまったく異なる種類のエネルギーと感情に移行しました。
ジミー・ギャリソンと共に黄金のカルテットの一員であるマッコイ・タイナーとエルヴィン・ジョーンズは、ジョンのアトランティック時代からのメンバーで、『コルトレーン・サウンド』や1960年の「ヴィレッジ・ブルース」のオリジナル録音を収録した『コルトレーン・ジャズ』などの素晴らしいレコードにも参加しています。

それから4年という短い期間でバンドがどのように進化したかを聴くのは興味深いです。ジョンは音楽的に達成しようとしていたものの型を壊し続けました。だから、いつもジョン・コルトレーンの作品から何か新しいものを得られるのです。



常にジョン・コルトレーンに関心を持っていますが、それは私にとって音楽の力の一種の肯定に過ぎません。パワフルな音楽です。だからこそ私たちは、あの時代、1950~60年代の偉大なアーティストを愛しています。ロック、ジャズ、60年代に始まったファンク音楽でさえ、時間を超越する重要な時代の声を持った本物のプレイヤーは常に存在します。

だから、ジョン・コルトレーンという名前を聞いたことがある人や、両親がファンだった人という若い人たちの耳に、突然この新しいアルバムが届けられることに、私はスリルを覚えます。

 

 

 

■リリース情報
ジョン・コルトレーン
『ブルー・ワールド~ザ・ロスト・サウンドトラック』

NOW ON SALE
SHM-CD: UCCI-1046  \2,400 (+tax)
購入・試聴はこちら https://jazz.lnk.to/jc_tlsNL

収録曲
1. ナイーマ (テイク1)
2. ヴィレッジ・ブルース (テイク2)
3. ブルー・ワールド
4. ヴィレッジ・ブルース (テイク1)
5. ヴィレッジ・ブルース (テイク3)
6. ライク・ソニー
7. トレーニング・イン
8. ナイーマ (テイク2)

ジョン・コルトレーン(ts) マッコイ・タイナー(p) ジミー・ギャリソン(b) エルヴィン・ジョーンズ(ds)
★1964年6月24日、ニュージャージー、ヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音

 

ジョン・コルトレーン『ブルー・ワールド~ザ・ロスト・サウンドトラック』ティザー映像

 

 

■Link
ユニバーサルミュージック ジョン・コルトレーン サイト https://www.universal-music.co.jp/john-coltrane/
ジョン・コルトレーン公式サイト(英語) https://www.johncoltrane.com/