2億回以上のストリーミング再生と1,500万回以上のYouTube再生を誇るインディ・ソウルのニュー・スターが、ブルーノート・レーベルより遂にメジャー・デビュー!

 

シンガーソングライター/マルチミュージシャンのコーシャス・クレイが、8月18日にアルバム『カルペ』をリリースした。これまでビリー・アイリッシュ、ジョン・レジェンド、ジョン・メイヤー、レミ・ウルフ、UMIなどと共演し、テイラー・スウィフトの「London Boy」に自身の楽曲「Cold War」がサンプリング使用されたことでも話題を集めてきた才人だが、ここではあえて質問事項を彼のメイン・ファクターのひとつである「ジャズ」に定め、ブルーノートからのリリースに至る過程、初めてのジャズ体験、ジャズへの思い等について話をきいた。

 

 

――― ブルーノート・レーベルから作品を出すようになったきっかけを教えてください。

 

「友人の(シンガーソングライターの)ジョン・メイヤーが、僕のことを(ブルーノート社長の)ドン・ウォズに伝えてくれた。それでドンから連絡が来たんだ。本当に気さくな、「君と音楽を作りたい」みたいな口調だったよ。だから自分から契約を求めてというわけではないけれど、ドン自身ものすごい音楽好きなひとだし、そんな“音楽人間”が自分に関心を持ってくれたことが嬉しかった。これまで以上に自分を深く表現し、理解してもらえることも大切なことじゃないかと思っていたところに、ブルーノートから作品を発表する話が来て、コンセプト・アルバムの構想が浮かび、それが今回の『カルペ』になった。せっかく伝説的なジャズ・レーベルから作品を出せるわけだし、僕はジャズが好きだから、そうした要素を生かせる内容にしたいとも考えたんだ」

 

 

――― 確かに『カルペ』にはジュリアン・ラージ、ジョエル・ロス、アンブローズ・アキンムシーレ、イマニュエル・ウィルキンスなど、現代のブルーノートを代表するミュージシャンが多数参加していますね。あなたにとってブルーノートのイメージとは?

 

「マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンのような、ジャズの中でも指折りのビッグネームをすぐに思い出すね。自分はR&Bに取り組んできたけれども、ジャズを愛する一面もある。『カルペ』では、今までとは異なる別の側面を表現することができたよ」

 

 

――― ジュリアン・ラージと5曲を共作しているのも、大きな聴きどころです。共演の音も、まるで何十年もの友人であるかのように息が合っています。

 

「ジュリアンとは制作直前にドン・ウォズを通じて知り合ったんだ。だけど、会う前から彼は僕の音楽を聴いてくれていて、それは予想外の喜びだった。おかげで、ものすごく短時間でお互いを理解することができたような気がする。ジュリアン自身、ギター奏者としてはもちろん、ソングライターとしての才能にも溢れていて、これは彼が言うには“パートナーのマーガレット・グラスピーが作曲家としての部分を開花させてくれた”ということになるけれど、本当にジュリアンとは会った瞬間に信頼関係が生まれたね」

 

 

――― ところで、あなたが初めて意識したジャズは何ですか?

 

「マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』だね。11歳のときに父親とワシントン州のシアトルを車でドライブした時のことだよ。すごく雨が多い土地なんだけど、その時は大きな山に霧がかかっていたのを覚えている。そこを通りかかったとき、ちょうどカーステレオから『カインド・オブ・ブルー』が流れてきた。それまでにもジャズは聴いたことがあったけど、子供にはちょっとわからないというか、身近に感じにくいところがあった。だけどこの瞬間、「ジャズってすごくいいな」と心に入り込んできた。外の風景も含めてね」

 

――― その頃にはもうフルートを始めていたのでしょうか?

 

「7歳から習っていたよ。グレッグ・パティロという、とてもオープンマインドな先生についていた。ヘンデルのピアノ曲をフルートに置き換えたり、「スーパーマリオブラザーズのテーマ」を演奏したりしたね。グレッグはビートボックスも素晴らしくて、YouTubeでいろいろ見ることができると思う。彼が引っ越した後、9歳から18歳までまた別の先生に学んだんだ」

 

 

――― 高校のジャズ・バンドではサックスを演奏し、ジョージ・ワシントン大学ではジャズを副専攻なさっていたそうですね。

 

「メインで学んだのは地理学、人類学、経済学だったけど、自分の生活から音楽をなくしたくないという思いで副専攻したんだ。音楽で生計が立てられるかどうか、わからないままにね」

 

――― 大学生の頃、熱中したミュージシャンは?

 

「クリス・ポッターから(ハウス系プロデューサーの)スクリレックスまでいろんな音楽を楽しんだ。でもサックスという点でいえばクリスが圧倒的かな。彼は作曲家としてもソロイストとしても大きな魅力を持っていて、あのビッグなサウンド、音の選び方に僕は敬意を持っている。いろんな吹き方ができるし、常にその音楽が必要としている最適なプレイをしている奏者だと思う」

 

 

――― ジャズの経験は、ご自身の曲作りにも反映されているのでしょうか?

 

「もちろんだよ。自分は音楽の深さやニュアンスに面白みを感じるタイプなんだけど、そこにはジャズを聴いてきたことが反映されていると感じるね」

 

――― では最後に、日本のリスナーに一言お願いします。

 

「何よりも楽しんで聴いてほしいと思う。そして、人生における体験、人とのつながりといった、このアルバムのメッセージに共感してもらえれば嬉しい。近いうちにぜひ、日本の皆さんと直接会いたいね。その日が来ることを楽しみにしているよ」

 


 

【リリース情報】

コ―シャス・クレイ『カルペ』

8月18日(金)発売 UCCQ-1190 SHM-CD ¥2,860(税込)

https://Cautious-Clay.lnk.to/Karpeh

 

 

01.  102イヤーズ・オブ・コメディ (イントロ)

02.  フィッシュタウン

03.  オハイオ

04.  カルペズ・ドント・フリンチ

05.  ザ・タイド・イズ・マイ・ウィットネス

06.  テイク・ア・ハーフ (ア・フィーリング・ウィー・チェイス)

07.  アナザー・ハーフ (w/ ジュリアン・ラージ)

08.  リピート・マイセルフ

09.  グラス・フェイス (w/ カイ・エクハルト&アルージ・アフタブ)

10.  ウォールズ&ア・ルーフ (インタールード)

11.  アンフィニッシュド・ハウス (w/ ジュリアン・ラージ)

12.  ブルー・リップス (w/ ジュリアン・ラージ)

13.  ティアーズ・オブ・フェイト

14.  イエスタデイズ・プライス (w/ イマニュエル・ウィルキンス&アンブロース・アキンムシーレ)

15.  モーメンツ・ストールン

16.  デアリング・イズ・ケアリング ※日本盤ボーナス・トラック