2019年に創立50周年企画を迎えたECMレーベル。その所属のアーティストにECMについて語ってもらう「ECM artists talking about ECM」。第5回目は先月トリオでの来日公演も大絶賛の嵐だったニューヨークを拠点に活動するピアニスト、ヴィジェイ・アイヤー。



■My Favorite ECM Album
ワダダ・レオ・スミス『ディヴァイン・ラヴ』
『Divine Love』 Wadada Leo Smith


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ECMのアルバムでというよりは、僕のこれまでの人生の中で一番好きなアルバム。


■ECMと契約したきっかけ
初めてECMの録音に参加したのは、ロスコ―・ミッチェルのバンド、The Note Factoryのドイツでの2007年のライヴ作品『Far Side』 だったのだけど、そこでプロデューサーのSteve Lakeに初めて会ったんだ。とっても感じのいい人だった。でも、特にそのあと何か話があったわけでもなく時は過ぎでいき、2012年になり、僕が当時所属していたレコード・レーベルの更新時期を迎え、別のオプションも検討している中でマンフレートにメールを送ってみたら、15分後に返事が来て、それで決まったのさ。


『Far Side』 Roscoe Mitchell The Note Factory



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■あなたにとってのマンフレート・アイヒャーとは?
マンフレートは長年素晴らしい音楽を作ってきた当事者でもあるし、その音楽ができる過程を見てきた目撃者でもある。1,500枚以上ものアルバムをプロデュースしてきたけど、1枚1枚全く異なった音作り、テイストを持っている中で、その作品1枚1枚に細心の注意を払ってきていることがすごいことだと思う。


■未来のECMに期待することは?
ECMは僕が知る限り契約書というのはないし、誰もECMと契約ということを交わしているのではないはずだよ。昔ながらのレーベルで、“やりたくなくなるまでやる“みたいな感じ。なので、契約が終わりっていうことも特にない。みんないろいろなプロジェクトをやりたいし、いろんなレーベルから出してもいいのさ。アート・アンサンブル・オブ・シカゴのボックスがECMからリリースされたけれど、同時に他のレーベルからも何か新しいものが出ていたりするよね。
僕がこれからECMでやりたいのは、室内楽やオーケストラものとか。僕の最初のECMリーダー作『Mutations』は弦楽四重奏と僕との作品だったけれど、そういったものや今のトリオ、セクステットでも、やりたいプロジェクトはたくさんある。新しいものも含めてね。
僕は先輩たちから多くを学んでいるんだ。(ここでロスコ―・ミッチェルと一緒の写真を見せてくれた。)これは2週間前、カナダでの車中の写真なのだけど、ロスコ―は車の中で2時間ずっと話してくれた。僕らは長年もう知り合いであり、今彼が何をやっているのかを話してくれたのだけど、彼は今年で79歳にもなるのにいろいろなプロジェクトを同時進行で持っているんだ。新しい作曲はもちろんのこと、新しいアンサンブル、コラボレーション、さらに過去の音楽まで学んでいるんだ。というのは、いろんな楽器を弾くし、練習もすごくするし、挙句の果てには自作のパーカッション楽器まで作ってしまうのさ。79歳だよ!そのクリエイティヴィティとエネルギー、そして生産性にも驚かされたよ。こういう先輩が僕のメンターであり、スティーヴィ・コールマンもそうだし、ワダダ・レオ・スミスも30歳年上の先輩だけど、僕よりも多くのプロジェクトをいま抱えている。だから僕にとってやりたいことがたくさんあるというのはノーマルなことなんだ。.


Vijay Iyer『Mutations』発売中



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Vijay Iyer, Wadada Leo Smith『a cosmic rhythm with each stroke』発売中


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最新作『ア・トランジトリー・ポエムズ』/ ヴィジェイ・アイヤー、クレイグ・テイボーン


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