ハンク・ジョーンズやジミー・コブなどのレジェンドに愛され、ロイ・ハーグローヴ・クインテットで日本人初、最後のレギュラー・メンバーだった、ニューヨークを拠点に活動する実力派ピアニストの海野雅威。5月24日(水)にリリースされるニュー・アルバム『I Am, Because You Are』より、2曲が先行配信中である。

 

2020年9月に新型コロナウイルス蔓延によるアジア人ヘイトクライムの犠牲となり、NYの地下鉄構内で集団暴行に遭遇。ピアニストにとって致命的と言える右肩骨折などの重傷に見舞われたものの、不屈の精神と懸命なリハビリで奇跡の復活。その過程はNHKのドキュメンタリー番組で紹介され、大きな話題となった。

 

2022年3月に発表された復帰作『Get My Mojo Back』は、故・坂本龍一氏も「抒情的でありグルーヴィーでもある。何と言っても過酷な状況を乗り越えて、真に演奏する喜びに溢れているアルバムだ。」とのコメントを寄せるなど生命力と歓びに満ちた内容で、ジャンルを超えて幅広いリスナーにアピールした。

 

 

復帰第2弾となるニュー・アルバム『I Am, Because You Are』は、大ケガの際に支援のためのクラウドファンディングを立ち上げるなど多大なサポートをしてくれた、公私にわたる盟友ダントン・ボーラー(b)とジェローム・ジェニングス(ds)とのレギュラー・トリオによる作品。数多くのジャズの歴史的名盤が生まれた聖地、ニュージャージーのヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音され、前作同様、全曲、海野雅威のオリジナル曲で構成されている。

 

先行配信されたのは、2022年12月のトリオの日本ツアーで披露されファンからも音源化を望まれていた「アフター・ザ・レイン」と「ユージーンズ・ワルツ」の2曲。

 

「アフター・ザ・レイン」は、荘厳さを感じさせるメロディとトリオの以心伝心のインタープレイが印象的なナンバー。この楽曲について海野は、「降りしきる雨もいつかは止み、やがて空には虹がかかる。そんな希望のイメージを曲に託しました。悲しみの先に広がる『アフター・ザ・レイン』を信じ、困難な時ほど心の中で願い続けたいものです。深遠な世界へと私たちを導いてくれた、偉大なジョン・コルトレーン、ファラオ・サンダースへのリスペクトの気持ちもこの曲には込めています。」とコメントしている。

 

 

一方の「ユージーンズ・ワルツ」は、ビル・エヴァンスの名曲「ワルツ・フォー・デビィを彷彿とさせる可憐なメロディとゆったりとしたワルツ・テンポが心地よいナンバーで、2022年12月のトリオの日本ツアーで披露されファンからも音源化を望まれていた。この楽曲については、「日々たくましく成長していく息子の愛らしさから生まれた曲です。その頃NYは、パンデミックによるロックダウンで外出が制限され、先行きの全く見えない不安な状況でしたが、健気に生きる彼の姿にどれだけ救われたかわかりません。健康で幸せに育ってほしいという願いが込められています」と海野はコメントしている。

 

  

 

【リリース情報】

海野雅威 AL『I Am, Because You Are』

2023年5月24日リリース

SHM-CD:UCCJ-2223 ¥3,300(税込)

https://Tadataka-Unno.lnk.to/IABYA

 

01. サムホエア・ビフォー

02. アフター・ザ・レイン

03. ユージーンズ・ワルツ

04. シダーズ・レインボー

05. ワン・ウェイ・フライト

06. C. T. B.

07. プット・ザット・シット・イン・ダ・ポケット

08. オーヴァー・ザ・ムーン

09. レット・アス・ハヴ・ピース

10. アイ・アム、ビコーズ・ユー・アー

11. オータム・イズ・ヒア

 

海野雅威(p)

ダントン・ボーラー(b)

ジェローム・ジェニングス(ds)

2023年3月3日、4日、ニュージャージー、ヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音